バランスと安定

ブレインステップ6|中脳:覚醒と姿勢反射の司令塔

ブレインステップ6|中脳:覚醒と姿勢反射の司令塔

中脳(ミッドブレイン)は、脳幹の中央に位置し、私たちの「覚醒状態」「姿勢反射」「眼球運動」「感情的な反応」などを統合的に制御する極めて重要な中枢です。

この領域は、私たちが“目覚めている”“集中している”“姿勢を保つ”ための基盤となっており、神経発達の観点からは「自律性・安定性・反応性」のバランスに大きく関与しています。

発達の早期段階では、この中脳が「視覚や聴覚への反応」「姿勢の保持」「警戒と安心の切り替え」などを通じて、脳全体の活性度を調整する役割を果たします。

たとえば、周囲の物音や光に対して過剰に反応したり、逆に鈍感であったりするのは、中脳の覚醒レベルが適切に調整されていない可能性があります。

さらに、中脳は「姿勢反射」に深く関与しており、体幹の安定性や筋緊張の調整にも寄与しています。

このため、機能不全があると以下のような状態が見られやすくなります:

  • 座っていても姿勢が崩れる

  • すぐ疲れてしまう

  • じっとしていられない

  • 視線が定まらない、目の動きがぎこちない

  • 音や光などへの過敏さ

また、中脳の興奮が高まりすぎると「警戒モード(fight or flight)」が常にオンの状態になり、子どもは慢性的なストレス下に置かれます。

これにより、怒りっぽさ・不安感・落ち着きのなさ・過活動といった情緒的・行動的な問題が表出しやすくなります。

したがって、ニューロリプログラムではこの「中脳の安定化」を一つの重要なステップと位置づけ、

  • 安心感の土台づくり

  • 視覚や聴覚を使った適切な覚醒コントロール

  • 姿勢反射の再統合トレーニング

    などを通じて、「落ち着きと集中の神経ベース」を再構築していきます。

中脳の健全な発達と安定化は、単なる行動の改善だけでなく、

子どもが自分の身体と感情をうまく“操作できるようになる”ための土台そのものです

ポイント

■ ポイントまとめ(ブレインステップ6)

  • 中脳は「覚醒レベル」と「姿勢反射」の司令塔

     → 集中力、姿勢、視線の安定に直結する。

  • 中脳の不安定さは“落ち着きのなさ”や“過敏さ”に影響

     → 音・光への過剰反応、怒りや不安のコントロール不良に。

  • 姿勢保持のための「反射統合」に中脳の調整が必須

     → 体幹のグラつき、疲れやすさにも関係。

  • 発達支援では“中脳を落ち着ける”トレーニングが重要

     → 視覚・聴覚・前庭刺激を用いて神経の興奮を調整。

  • 中脳の安定=感情・行動・身体がつながる土台

     → 自律と安心の感覚を取り戻す第一歩。